これから Engineering Manager を始めるあなたへ:明確な課題が見えない状況での第一歩

Koji Nishikiori
9 min read4 days ago

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この記事は、Engineering Manager Advent Calendar 2024 17日目の記事です。

まえがき

私はちょうど今週から Engineering Manager としてトライアル的に働き始めました。 EM の打診を受けてからどう動いてみたか、何をやるべきことと決めたのかについて残します。明確な課題がまだ見えない中で EM という役割を新しいロールを始める際に、やるべきことを確認するために準備した内容を共有します。

本記事の対象は主に、これから Engineering Manager として新たにキャリアを歩み始めようとしている方、今すでに EM として活躍されていて EM の役割を他の若手にお願いしようと考えている方、そして1年後の自分としています。参考になれば幸いです。

不明確な状況下でスタートすることについての課題

ありがたいことに、自分の開発組織は緊急性の高い大きな組織的課題は現在のところ見当たりません。もちろん細部に目を向けるとたくさん課題はありますが、組織的に大きなマイナスの状況を立て直すところからスタートというわけではありません。過去のマネージャーたちが中心となって地道な努力を続け、問題を解決してきたからです。

一方で、今後大きく力を伸ばしていくべきまだ見えていない領域についてのゴール設定についてはあまりできていませんでした。今後組織としてここを目指していくため、権限移譲も含めマネジメントの役割を担える人を増やしていく必要がありました。

このような状況で未経験の EM というロールを受け取るにあたり、具体的になにをするべきかがまだ見えていないという課題がありました。

準備

きっかけは上司との 1on1 でした。「EMやってみない?」と打診されました。当時の私はプロダクト戦略・実装を含めたその機能を実現させていく部分といった直接エンドユーザーの目に触れるものに強い関心があり、これまでのキャリアでも SRE ・サービス企画・プロダクトオーナーなどといったプロダクトに関連する横に広がる役割はやったことがありますが、開発組織に対するマネジメントというのはあまり興味をもってやってきませんでした。

現在テックリードというポジションで1つの開発チームを任され日々デイリーミーティングなどのコミュニケーションをしながらいろいろな部署と一緒に仕事をしていますが、それもユーザーに価値を届けることを念頭においての仕事がメインでした。そのため EM といってもなにをするのかいまいちピンときておらず、とはいえ打診してもらったということはなにか期待してもらえているという意味でもあると思い、1週間待ってほしいと返事をしました。

そこで、昨年分を中心とした過去の Enginnering Manager アドベントカレンダーの記事をとにかくできるだけ量を読み込み、各ポストに感想や思ったことをまとめて、私たちの開発組織で EM としてどういう働きをしていくべきなのかを改めて上司とわいわいと話しました。この動きはとても良かったと思います。 Engineering Manager というタイトルで仕事をしてきたこれまでたくさんの先人の知恵を借りることができました。

特に以下のような記事はとても参考になりました。

最初のステップ

EM のあらゆる活動の原点として、 1on1 ミーティングをベースとして用いることがどうやら何にでも効いてきそうだと考えました。 1on1 をベースに、その時間をどう使うべきかなるべく毎回目的を設定して臨むのが良いと思いました。

  • チームメンバーの現状把握・情報収集:どのような困りごとがあるのか、どのような成長を求めているのか。
  • 関係構築:信頼関係の基盤として、メンバーとのオープンなコミュニケーションを心がける。
  • フィードバック:具体的な行動や成果に対してフィードバックを行い、成長を支援する。
  • リフレーミング:課題や困難な状況を、ポジティブかつ前向きな視点で捉え直し、解決の方向性を見つけ出す。

これを繰り返すことで、EM としてやるべきことの輪郭が徐々に見えてくるのではないかと考えました。そして、メンバーとの対話の中から見えてきた課題や可能性に対して、小さなアクションを積み重ねることで組織としての具体的な変化・成果につなげられると感じました。

エンジニアリングマネージャーとしての第一歩

今仕事をしている自分のチームのメンバーとは普段から 1on1 のミーティングをしていました。そのミーティングをオンボーディングプロセスとしてそのまま使わせてもらい、数ヶ月の後に本格稼働するというスケジュールを立てました。

現状把握や関係構築は普段からできていると思うので、ここでは組織として向かうべき方向性を見極めるために「現状の課題やチャンスを整理する」ことに加え、短期的に試せる具体的なアクションをリストアップしたりすることで次のステップにつなげられないか考えることにしました。

新しいEMへ

自分は過去の仕事では何事も1人でなんとかせざるを得ないシーンが多く、それもあって個人で素早く動くことを良しとしていたのですが、現在では考え方が変わり、チームで問題に取り組むことでより大きな成果をあげられ、不測の事態にも強くなる と考えるようになりました。

  • Whyを語る:なぜその課題に取り組むべきなのか、なぜその施策を行うのかを自分の言葉で語る。
  • チームを信頼する:自分も一員として本気で取り組み、チーム全体の動きを活性化する。

こういったことを意識して仕事をしているいるつもりでしたが、マネージャーとしてこうした行動をとることでより大きなモメンタムを生み出すことができるかもしれないと思うようになりました。そのために小さなステップに分解して身近なところから始めることとしました。

自分のようにこれから Engineering Manager を始めようとしている方へ向けて、同じようにやる必要はもちろんありませんが、一例として参考にしてください。まとめると以下のようなことになります。

  • 情報を集める:書籍やブログ、他のEMの経験を積極的に学び、共有する。
  • 小さな成果を目指す:できそうな実感を持てる小さな成功を目指して進み、フィードバックループを繰り返す。
  • 自分の強みを活かす:テックリードやプロダクトマネジメントの経験など、自分の経験・得意分野から役割を形作っていく。
  • 焦らず自分らしいスタイルを見つける:リーダーシップやマネジメントの形は組織によってそれぞれだと思っています。自分に合った EM スタイルを見つけるまで焦らずに探索する。

最後に

開発組織のパフォーマンスが最大化したときに自分・チームメンバー・お客様など関係する各所にどういう変化を起こせるのか。EM をやるかどうかに関係なく誰にとっても、考えてみるというのは良い機会だと思いました。肩書がつくことになにか息苦しさを感じて敬遠する前に、中身を学び、その上で自分の意見を持てると議論が深まりやすくて良いなと思います。

あなたが新しい挑戦に自信を持てますように。

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Koji Nishikiori
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Written by Koji Nishikiori

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